ベネッセにて進研ゼミ小論文編集長であった経歴をもつ山田ズーニー氏の著書。
会社に夢と希望を抱いて入社し、自分の信念=会社の信念であることを疑わない驕れる新人への忠告がベースになって話が進んでいるので、
入社したからには士気はもちろんあるが、そもそものコミュニュケーション能力の低さに絶望し壁にぶちあたっている新入社員達には敷居が高いなあ・・と読み始めは感じてしまった。
だがズーニー氏の、半年の中でいかに「メディア力」を育てていくかという主題のもと進められる実践的なアドバイスを読み進めるにつけ、そもそもそのコミュニュケーション能力の低さに悩む理由が結局は自意識の虜になってしまっていることが原因だということに帰結するのだということに気付かされる。
以下、参考になった部分の要約抜粋である。
※「自分のメディア力」=自分という人間の信頼性・影響力・発言力
メッセージを伝える媒介=メディア
・コミュニケーションは自分と相手の間に橋をかけるような行為
⇒挨拶は、得体の知れない他人という警戒心を一発で解く、すぐれた方法だ。
・どんなに理不尽に見える上司だろうが、どんなに会社の方針に不満があろうが、本当の意味で社会に出る道はひとつ、「上司からの信頼を得る」。ここからはじめるしかない。
・いやな上司1人、信頼が得られないようで、その先に大海原のようにひろがっている謝意あと信頼関係なんて結べるものか!
・新人はメディア力が低いのだから、うけた誤解はぐさま撤回したほうがベター。そしてその際「自分が心から思っていること」を伝え、上司との共感ポイントを探していき、信頼を回復していく。
・「おわび」の主役は自分ではなく相手!新人は自己嫌悪で「私が」が主語のおわびに陥りやすいが、関心を外に出してからの反省。
・「伝えなければ、伝わらない」という厳しい現実!実力不足、アピール不足といわれるとき、問題なのはコミュニケーション不足。
そのために⇒「報告」の義務をおこたらない。報告はむしろ自分のメディア力形成のチャンス
チームの「雑用」を引き受ける。雑用は広報活動の一環ととらえる。
同僚から「質問」をされたり、助けを求められたりしたら、丁寧に対応。社内での人助けは、自分のキャリアを知ってもらうプレゼンテーション。
・聞き上手=適度に要約を挟みながら聞く⇒ぴったりと要約することで「共感」を生みまた1つ信頼が得られる。
・社会人としての文の書き方=「自分の答え」を打ち出す。
「私はこのように考えますが、いかがでしょうか?」と自分なりの「決め」をして、打ち出して、かつ相手を自由にする。
・自分にやりたいことがはっきりして、自分の立ち位置を知っていれば、自分とは違うやりたいことをもった会社に対しても、その距離を測って、協力できる。
・勇気を出してメールするとき=1.少しでも早く伝えてあげないと相手が困るであろう情報
2.自分が相手だったら、微妙なニュアンスも含めて詳しく聞きたいであろう情報
3.メールを出したけど、相手から返事がこないとき
⇒メールにするか、電話にするか、対面いするか?常に「ベストな方法」をと、意思を持って選択していこう!
・「上司のやりたいこと」を理解して、支援する。朝3分時間をとって、上司のことを考える。まずは、目の前にいる上司1人の目になってものごとを見る。
この本だけでは心もとない、学生時代の己のままでいられた状態から抜け出せない新社会人は、そもそもの人との付き合い、アイデンティティーの確立をケアする自己啓発本を組み合わせ補強することで、殻をやぶり社会人として飛躍できるのではなかろうか。私自身の希望的観測である・・・・。